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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)

1770年代後半(素材:1750-60年代) - フランス

素材・形状特徴
アイボリーにピンクの縞柄のリヨン製絹ブロケード。シュニール糸の縫取織による花束と花づな柄。共布のサボ型袖。絹ネット・レースとシュニール糸による立体的な花飾りによる縁飾り。共布のストマッカーとペティコート。
収蔵品番号
AC9704 98-26AD

ロココの衣服にはフラウンス、フライ・フリンジ、造花、リボン、シュニールなどの夥しい装飾が欠かせなかった。本品は、過剰とも思える夥しい装飾が全体として調和を見せ、洗練と装飾性に溢れたロココを形容するにふさわしいドレス。
テキスタイルは、その質の高さとデザインで名声を誇ったフランスのリヨン製絹織物。ピンクと白の経縞を地模様として、リズミカルな花づな模様のカルトゥーシュの中に花束が多彩に織りだされている。それをレースと共に飾られた繊細な縁飾り(パスマントリー)が飾っている。テキスタイルに織り出されている花束や花づなと同じモチーフが、色だけでなく質感も立体的に作り出されている。これほど見事なパスマントリーの例は少ない。
フランスでは1653年にパスマントリー組合が結成されて以来、専門の職人たちによってさまざまな装飾が生み出され、18世紀に渡って隆盛を誇った。

1760s-1770s