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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス(ラウンド・ガウン)

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス(ラウンド・ガウン)

1795年頃 - イタリア

素材・形状特徴
白い綿モスリン。青、茶の綿糸、銀糸で植物模様を刺繍。トレーンをひく。前身頃にシャーリング。衿ぐりにレース飾り。
収蔵品番号
AC9123 1994-14-1

洗練の絹から、簡素な木綿へ、その美意識の転換を力強く後押ししたのは1789年のフランス革命だった。綿モスリンの白いドレスは、やがて19世紀初頭、熱狂的な勢いで流行していく。ラウンド・ガウンはウエストラインが胸まで上昇し、本品に見られるように身頃とスカート部が一続きになったワンピース形式のドレス。
簡素なモスリンのドレス流行の先駆けは、王妃マリー=アントワネットだった。彼女は堅苦しいヴェルサイユ宮殿を抜け出して、プチ・トリアノンの田舎家風別荘アモーで簡潔なドレスと麦わら帽子で羊飼い遊びに興じた。1775年頃に白い木綿のドレスを着ていたという王妃は、ルイーズ=エリザベト・ヴィジェ=ルブランの肖像画(Marie-Antoinette, 1783年頃 ワシントン、ナショナル・ギャラリー蔵)で王妃風シュミーズ・ドレス(シュミーズ・ア・ラ・レーヌ)を着た姿で描かれている。これは素材や構造の上で、次の総裁政府時代のハイウエストのドレスを先取りしていた。

1780s-1790s