KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

デイ・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Taishi Hirokawa

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デイ・ドレス

1838年頃 - アメリカ

素材・形状特徴
赤い絹とウールの交織のゴーズ。絹サテンのパイピング。身頃と袖にくるみ釦。レッグ・オブ・マトン袖。袖山にプリーツ、段飾り、ブロンド・レースの挟み込み。
収蔵品番号
AC2208 79-9-13

釣鐘型のスカートと大きく膨らむレッグ・オブ・マトン(ジゴ)袖が特徴的なデイ・ドレス。明るい色使いのドレスは、ネックラインとショルダーラインがともに下がり、大きなデコルテになっている。また、視覚的に肩幅とスカートの裾幅がほぼ等しいため、シルエットはアルファベットのX字型を描き、腰の細さが強調されている。スカート丈は踝が見えるほど短く、刺繍入りの靴下や四角い爪先の華奢なフラットシューズが裾から覗いた。羊の脚のように、肩から巨大に広がり手首に向かって細くなるレッグ・オブ・マトン袖は、1820年代に見られるようになり、1830年代後半になると、リボンやレース、段飾りなどによって袖が留められ、膨らみが肘および前腕へ移動した。
このようなドレスのデザインは、1830年代に全盛となるロマン主義が理想とする女性美や女らしさを色濃く反映している。ロマン主義の芸術家たちは、憂愁な雰囲気を持ち、青白い肌をした華奢な女性の姿に美しさや女らしさを見出した。彼らの芸術活動が、妖精や天使などの身体感のない、神秘的なものに強く惹かれ、理想主義的な傾向にあったからである。

1820s-1840s