KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Taishi Hirokawa

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イヴニング・ドレス

1845年頃 - 製作国不詳

素材・形状特徴
緑に白の花柄を織り出した絹ブロケードのツーピース・ドレス。ボディスに絹サテンのパイピング。
収蔵品番号
AC553 78-2-9A, AC555 78-2-9C

タイトなボディスと生地をたっぷりと用いた襞入りのスカートが典型的な1840年代のイヴニング・ドレス。ボーン入りの丈長のボディスの下部は、V字型に尖り、丁重に縁取りされ、低く細いウェストラインを強調している。そこからふわりと膨らむスカートは、前時代と比べ丈が長い。スカートの膨らみは、1850年代に輪骨入りの下着(クリノリン)が考案されるまで、ペチコートを何枚も重ね着して作り出されていた。ドレスはショルダーラインがわずかに落ち、短いタイトな筒袖が付いている。大きなデコルテは、しばしばレースのバーサカラー(飾り衿)で飾られた。 1840年代には、18世紀のロココ趣味が再来したかのような、上品な優しい色調で繊細な柄の絹織物のドレスが好まれた。慎み深く、非機能的な女性のスタイルが求められた背景には、台頭した新興富裕層の男性たちのジェンダー観が影響している。彼らは女性の労働を悪徳と考え、夫の庇護の下に暮らす家庭女性を女性の典型と見なし、女性の装いに彼らのジェンダー観を具現化した。

1820s-1840s