KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Kazumi Kurigami

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イヴニング・ドレス

1908年頃

デザイナー
キャロ姉妹[推定]
ブランド
キャロ姉妹[推定]
素材・形状特徴
黒と紫の絹シャルミューズのツーピース・ドレス。花模様を金糸・銀糸で刺繍。背面の2本の飾り布は、先端にタッセル飾り。
収蔵品番号
AC7708 93-2-1AB

衿や打ち合わせは、まるできものかと見まごう。前スカートのスリットの奥には蹴出しのようなパネルが付いている。お引きずりのようなトレーンもきものを想起させる。「フォルム・ジャポネーズ」と呼ばれたドレスの例である。しかし、きもののお引きずりとは違い、トレーンはあらかじめ丸く裁断されているなど、西洋的に構成されている。刺繍のモチーフは日本風にも中国風にも見え、また背面の飾り布は中国宋代の礼服を思わせるなど、この時代の折衷的要素が詰め込まれた極めて興味深い作品である。 本品はパリのオートクチュール・メゾン、キャロ姉妹店の作と伝わる。同店の経営者姉妹の長姉であるマリー・ジェルベールは日本愛好家として知られた美術批評家のエドモン・ド・ゴンクールと交流があり、彼の影響もあって浮世絵のコレクションをしていた。

1900s