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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

輸出用室内着

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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輸出用室内着

1906年頃 - 日本

デザイナー
不詳
ブランド
不詳
素材・形状特徴
クリーム色の絹サテン。藤、菖蒲、燕、鷺の模様を絹糸刺繍。両脇にマチ入り。後ろ腰にプリーツ入り。裾と袖にふき入り。
収蔵品番号
AC13201 2015-5-1

西洋市場向けに日本で製作された室内着。飯田髙島屋製と思われる。両脇にマチが、後ろ腰にプリーツが入り、当時流行の西洋ファッションのシルエットに対応している。 19世紀後半、欧米に渡った日本のきものは絵画に登場したり、女性たちの室内着として着られたり、流行のドレスに仕立て直されたりした。20世紀初頭には、きものは欧米で新種のおしゃれな室内着「キモノ」となり、一大kimonoブームを起こし、日本製、海外製を含めて多くのキモノが生産された。日本からもこうした流行に乗じて、1900年から1910年代にかけて、本品のような後ろ腰にプリーツが入ったものや、帯代わりとして両端にフリンジが付いた共布をサッシュ・ベルトとして結ぶものが輸出され、欧米で人気となった。 イギリスでは「キモノ(Kimona[原文ママ])はそれまでのドレッシング・ジャケットやティー・ガウンに代わるものとして効果的で優雅さに役に立つ」(『ザ・クィーン:ザ・レディーズ・ニューズペーパー』1902年10月4日号)と、フランスでは、1904年12月号から1906年2月号にかけて、ババーニ店が人気の女性誌『フィガロ・モード』にキモノを大々的に宣伝し、「エレガントな女性たちの間でキモノ(kimono)の話題が持ちきりになった。(...中略...)身体の動きを全く妨げず、女性のシルエットを魅力的に見せるゆったりとした絹の服(キモノの意)以上に、優雅で着やすく、着心地の良い服があるだろうか」(1905年2月号)と謳っている。欧米では「kimono」は一般的に室内着の意味として定着している。

1900s