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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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イヴニング・ドレス

1916年秋

デザイナー
ルーシー・クリスティーナ・ウォレス
ブランド
ルシール
レーベル
Lucile Ltd 37&39 WEST 57 TH ST. NEW YORK
素材・形状特徴
オフ・ホワイトの絹シフォン、チュール、レース、ライト・ブルーの絹タフタ、サテンのワンピース・ドレス。胸中心に花飾り付き。
収蔵品番号
AC1900 79-1-52

淡い色調と繊細な装飾が特徴的なドレス。スカート部分は三枚重ねで、オーバースカートの前明き部分から、絹サテンのリボンや花、接ぎ合せたチュールやレースの夥しい装飾が見え隠れする。
第一次大戦により、ファッションは急速に簡潔な方向へと向かう。一方、これまでの手の込んだ装飾的、伝統的なスタイルに愛着を持つ女性たちも多く、ランヴァン店とともに、ルシール店はそうした顧客たちの支持を得た。このドレスも懐古的な女性らしさを漂わせているが、足首の見える短めの丈には新しい時代感が示されている。
デザイナーはルーシー・クリスティーナ・ウォレス、後のレディ・ダフ・ゴードン[1863-1935]。1894年、ロンドンに「ルシール」を開店。18世紀の宮廷衣装を彷彿とさせるような色彩と繊細な装飾、贅沢な生地使いで当時の社交界の女性を魅了した。顧客にはウォリック伯爵夫人やアイリーン・キャッスル夫人など名立たる女性が名を連ねた。1910年にニューヨークとパリ、1915年にシカゴに支店を出店。第一次世界大戦中はアメリカでのビジネスが拡大し、「ルシール」の名声が広がった。本品はニューヨーク支店製。

1910s