KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

サンダル

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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サンダル

1947年

デザイナー
サルヴァトーレ・フェラガモ
ブランド
サルヴァトーレ・フェラガモ
レーベル
FERRAGAMO'S
素材・形状特徴
黒いウェッジ・ヒールに対比的な透明の甲部分。ヒール部分は木に黒のスウェード張り。甲部分は透明のナイロン糸。ストラップに金属製のバックル。
寸法
22cm (長さ) / 7.7cm (幅) / 6.5cm (ヒール高)
収蔵品番号
AC11714 2007-34AB

「見えないサンダル」と名づけられた本品は、実用化されて間もない新素材ナイロンを採用している。ナイロン糸を甲から靴底に何度もくぐらせて形成した甲部分は、ナイロンの透明性のためにストラップ部分が浮いているように見え、見る者に不思議な印象を与える。彫刻的な美しさをみせる「F」の文字を模したウェッジ・ヒールはサルヴァトーレ・フェラガモ(1898-1960)の発案といわれる。大胆な曲線使いのヒールは一見すると不安定に感じる。だが、綿密な構造計算に支えられた技術によって履き心地の良さを生み出している。斬新な素材使い、新しいフォルムの創造、機能性の追及からはフェラガモの靴作りに対する真摯な姿勢が読み取れる。彼はこのサンダルによって、アメリカ・ファッションの最高賞、ニーマン・マーカス賞を受賞した。
イタリア生まれのフェラガモは9歳より靴作りを始め、11歳で自身の店を持つ。15歳で渡米して以降、ハリウッド俳優らから支持を得て名声を高めた。あくなき探求心を持つフェラガモは南カリフォルニア大学で解剖学を学び、そこで得られた知識を靴作りに生かす。1927年にイタリアに戻り、フィレンツェで靴店を開業。以後、世界中の女優や各国の王族を顧客とした。

1940s