KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

コート

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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コート

1963年

デザイナー
クリストバル・バレンシアガ
ブランド
バレンシアガ
レーベル
BALENCIAGA 10, AVENUE GEORGE V. PARIS 86550
素材・形状特徴
アイボリーのウール・ツイル。前身頃に10個の釦。
収蔵品番号
AC6716 90-16-17

ケープ・コート。肩線のなだらかなカーブや量感が新しい服の造形を見せている。この形を可能にしたのは、身頃から裁ち出したケープの前と後ろを肩の別パーツの嵌め込みを用いて一体化させるという、衣服構成における独自の発想である。接ぎ線を最小限にとどめ、厚みがあるウール地の特性を生かして立体的に仕立てたバレンシアガの技が冴える作品といえる。
50年代のチュニック・ドレスやサック・ドレスに代表されるように、バレンシアガは60年代に顕著となる形態の単純化を早々に実現し、過去の引用や流行の踏襲ではない新たな造形を開拓した。本品においても彼独自のシンプリシティが遺憾なく発揮され、彫刻のような造形美を見せている。そうした新しい服の形を具現化することができたのは、誰にも真似できない彼の裁断技術によるところが大きかった。

1960s