
© The Kyoto Costume Institute, photo by Mai Narita
画像にマウスカーソルを乗せると拡大します。
ジャケット
1930年代
- ブランド
- ジョージ・ナイズ
- レーベル
- GEORGE KNIES furrier at 315 S. 13th ST. PHILADELPHIA
- 素材・形状特徴
- コロブス属の黒い毛皮。
- クレジット・ライン
- 金井純氏寄贈
- 収蔵品番号
- AC10991 2003-26
人間の黒髪を想わせる、艶のある長毛が特徴的である。経年劣化か、あるいは製造過程における薬品の影響か、DNA鑑定でも動物の種類は特定できなかった。しかしファッション史から鑑みて、さらに毛の小皮紋理構造と毛髄形状の観察からも、コロブス属の毛皮と考えることができる。
遅くとも中世には、霊長類の毛皮は国際的に商取引されていた。特に黒白のバイ・カラーの長毛を持ち、現地でも儀式用の衣装などに使われたアビシニア・コロブス(Colobus guereza)の毛皮はアラブの商人によって西欧に輸出され、珍重された。外套類のほか、19世紀にはマフとして人気が高く、1892年には175,000枚ものコロブスの毛皮が西欧に輸入されたという。
1930年代、本品のような外套類の素材としてコロブスの毛皮は再流行する。シュルレアリスムの芸術家たちとの協業で知られるエルザ・スキャパレリによる、猿毛を印象的に使ったブーツ(1938年夏)も話題を呼んだ。ある晩ホテル・リッツで食事中だった客たちは猿毛に刺繍を施したスキャパレリのケープを着た女性を見ようとして椅子によじのぼらんばかりに色めき立った、という逸話も残されている。目立ちたいという願望は、しばしば珍奇な毛皮の希少性や幻想性と結び付いてきた。
1930s
KCI