KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Taishi Hirokawa

画像にマウスカーソルを乗せると拡大します。

ドレス

1917年頃

デザイナー
マリア・モナチ・ガレンガ
ブランド
GALLENGA
レーベル
Maria Monaci Gallenga
素材・形状特徴
モス・グリーンのベルベットにステンシル・プリント。ハンギング・スリーブ。ステンシルの柄は金銀でオリエントの古代文様、不死鳥、グリフォン。金糸とモス・グリーンの絹ジョーゼットで渦巻きを象ったベルト。
収蔵品番号
AC3008 1980-2-32

本品にも二鳥一対の不死鳥やグリフォンが象られているように、ラファエル前派に傾倒したガレンガは、ルネサンス時代を思わせる文様を多用している。また彼女は、のちにローマ分離派に合流し、衣服をはじめ、家具など生活全般のデザインに関心を持った。とりわけ、夫のピエトロ・ガレンガとともに開発したステンシル・プリントは、その制作技法の大きな特徴だといえる。金糸や銀糸の刺繍の代わりに用いられた多色プリント技術は、1925年にパリで開催されたアール・デコ博覧会においても高い評価を得ることになる。ガレンガは、華やかながらも軽やかなプリント技術により、豪華絢爛な過去のイタリアへの憧憬と近代的な技術を用いた繊細な表現の双方を実現したのである。

1910s