KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス、ジーンズ

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス、ジーンズ

2002年春夏

デザイナー
渡辺淳弥
ブランド
ジュンヤ ワタナベ コム デ ギャルソン
レーベル
JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS
素材・形状特徴
洗いをかけた青い綿デニムのワンピース・ドレスとパンツ。裁ち切り。トレーンをひく。
収蔵品番号
AC10732 2002-4-3AB

デニムは主に綿糸を綾織にした厚手の織物。緯糸に白い綿糸、緯糸はインディゴか他の染料で青く染めた「ブルー・デニム」が最も親しまれている。19世紀後期、米国で労働着として人気を得た「ジーンズ」にもデニムが使われた。20世紀後期、ジーンズは丈夫でおしゃれな日常着として世界に流行し、私たちはデニムへの親しみをより深めた。
1992年のブランド創設以降、素材と裁断の研究によって新しい表現の可能性を探求する渡辺淳弥は、洗いをかけ柔らかくしたデニムを使い、波打つフラウンスをもつドレスを作った。古着風の色落ち、縁の裁ち切りやほつれといったヴィンテージ加工とトレーンまで続くドレスの優雅なドレープが見事に調和している。1990年代後期に注目された「バナル(陳腐)」なファッションは、1970年代という近い過去のファッションへの注目を促し、当時のヒッピーたちもそうであったように着古した衣服やそのリメイクが再注目され、色落ちや皺といった一般的には否定的に捉えられがちだった古着の要素への関心をも喚起した。年代物のワインや自動車に使われていた「ヴィンテージ」という言葉が古着にもあてはめられ、ダメージは個性や希少性と読み替えられた。本品はそうした時代の空気をはらみ、肩肘張らないさりげないエレガンスに満ちている。

2000s