KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス

1948年頃

デザイナー
クレア・マッカーデル
ブランド
クレア・マッカーデル・バイ・タウンレイ
レーベル
claire mccardell clothes by townley
素材・形状特徴
マルチ・ストライプの綿平織のラップ・ドレス。身頃はバイアスカット。共布のベルト付き。
収蔵品番号
AC9452 97-16-5

スポーティでシンプルな服作りを得意とするマッカーデルの特徴がよくあらわれた作品。優雅なシルエットの中に、着心地の良さと、手入れの簡易さが、デザインを損なうことなく内包されている。一見すると、ディオールのニュー・ルック(1947年)のようだが、内部構造はまるで異なり、裏打ち、ボーン、ウェストニッパーやペチコートを使用せずに、細いウエストとスカート裾をたっぷりと広がらせたシルエットを作り出している。目の詰まった張りのある木綿製で、バイアス断ちのボディスが締まった上半身のラインを実現し、ウエストに細かくギャザーを寄せた裾広がりのスカート部分を際立たせている。
クレア・マッカーデル[1905-58]は、パーソンズ・デザイン学校を卒業後、企業デザイナーとして活躍。後に自らのレーベルでデザインをするようになった。19世紀以来アメリカのハイ・ファッション界は、パリ・オートクチュールの完全な支配下にあった。第二次世界大戦により、パリからの情報が途絶え、アメリカ独自のデザインが模索され、そのリーダー的存在がマッカーデルだった。自身の名前をレーベルに冠しつつも、企業内デザイナーとして、20世紀のアメリカにおける既製服の普及に貢献した。彼女は、着心地良く、美しく、着るシーンが限定されない服をつくる事をモットーとしていた。彼女の服は、アンダードレスや下着の助けを借りずに自然に女性の体にフィットし、かつ動きやすい。このエレガンスと機能性の両方をアメリカの既製服にもたらしたマッカーデルは、「アメリカン・ルック」の代名詞と呼ばれた。

1940s