KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

スーツ(ジャケット、ベスト、パンツ)

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

画像にマウスカーソルを乗せると拡大します。

スーツ(ジャケット、ベスト、パンツ)

1900年代 - [左]アメリカ、[右]不明

ブランド
[左]ロジャース・ピート・カンパニー、[右]不明
レーベル
[左]Rogers Peet Company NEW YORK、[右]無し
素材・形状特徴
[左]黒のウール・ツイル。3つボタンのシングルブレステッドのジャケット。2つの袖ボタン。6つボタンのシングルブレステッドのベスト。サスペンダー用ボタン付きのパンツ。
[右]黒のウール・ツイル。ジャケットは4つボタンのシングルブレステッド、段返り襟。袖ボタンは3つで本切羽。ダブルブレステッドの襟付きベスト。サスペンダー用ボタン付きのパンツ。
収蔵品番号
[左]AC3935 81-25-51AC
[右]AC9393 96-29-5AC

いわゆる「3つ揃えのスーツ」である。共布のジャケット、ベスト、パンツによって構成されるスタイルは典型的なスーツのイメージであるといえる。ともに1900年代のスーツであるが、両者には微細な差異が認められる。右はウエストラインをかたちづけたイギリス式と呼ばれるものであり、また袖の本切羽や裾の曲線的な仕上げなどからもスーツへのこだわりがうかがえる。左はウエストラインがないボックス型であり、いわゆるアメリカ式のスーツである。ロジャース・ピート・カンパニーは1874年に創業した紳士服店で、最盛期にはニューヨークに12店舗もあったとされる。1950年初演のミュージカル「ガイズ&ドールズ」の一曲「Marry the Man Today(今日この人と結婚する)」のなかで、このブランドは「品があって、保守的で、清潔感がある(respectable, conservative, and clean)」もののひとつとして歌われている。

1900s