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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス「モンドリアン」

© The Kyoto Costume Institute, photo by Taishi Hirokawa

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ドレス「モンドリアン」

1965年秋冬

デザイナー
イヴ・サンローラン
ブランド
イヴ・サンローラン
レーベル
YVES SAINT LAURENT PARIS
素材・形状特徴
ラシーヌ機によるウール・ジャージーのワンピース・ドレス。白に赤、黒をはぎ合わせ。
収蔵品番号
AC5626 87-18-1

20世紀の大デザイナーの一人、サンローランの代表作である。直線的なAラインのドレスに、黒い直線で分割された大胆な原色の配置は、オランダの画家、モンドリアンの代表作《コンポジション》の引用である。画面上で分割された白、赤、黒による抽象画は、ラシーヌ機による特殊なジャージーのはぎ合せによってドレス上に表現されている。簡潔なフォルムながらそれを身にまとう女性の身体をほのかな陰影の中に浮き上がらせる、オートクチュールの高度な裁断技術が伺える。美術収集家としても知られたサンローランは、《コンポジション》も収集していた。
ディオールを退職後、1961年に25歳の若さで自らのメゾンを立ち上げたサンローランは、オートクチュールと新興勢力のプレタポルテがせめぎあい、ファッションが移り変わろうとする中、新しい時代の要請を的確に見抜き、次々と斬新な作品を発表した。本品発表の翌年、66年にはプレタポルテのブティックを開店。Aラインのミニ・ドレスやパンツといった、現実の生活に即した若々しいファッションを発表して世界的な人気を得、20世紀後半のファッションを牽引した。

1960s