KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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イヴニング・ドレス

1850年頃 - インド?

素材・形状特徴
白いマルのワンピース・ドレス。ボディスは絹サテンにマルを重ねている。玉虫の前羽と金糸による様式化された草花模様の刺繍。袖口に金糸のフリンジ。ウエストに金糸コード。共布のショールにはドレスと同様の刺繍。
収蔵品番号
AC10375 2000-40-2AB

ジュエル・ビートル(玉虫)の前羽が留め付けられた軽やかなマル製ドレス。緑から紫へと変化しながら輝く羽が、ドレス1,942枚、ショール1,548枚確認される。
18世紀中期以降イギリスはインドを植民地化しており、19世紀から後期には西欧市場に向け、玉虫刺繍のさまざまな製品が輸出された。玉虫の羽を用いた美麗な衣装は、16世紀から19世紀中期にかけてインド半島を広く支配したムガル帝国で作られていた。金糸刺繍を伴った豪華なターバンや、マハラジャの結婚衣装に玉虫の羽が刺繍された事例が、デリーの国立博物館やジャイプールのマハラジャ・ジャイ=シン二世美術館に残されている。またインドでは宝飾品のデザイン画に玉虫の羽を用いた歴史があり、その技術が刺繍に活かされたという。

1820s-1840s