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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

作品集『Sonia Delaunay : ses peintures, ses objets, ses tissus simultanés, ses modes』より

© The Kyoto Costume Institute

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作品集『Sonia Delaunay : ses peintures, ses objets, ses tissus simultanés, ses modes』より

1925年

デザイナー
ソニア・ドローネー
素材・形状特徴
紙。グワッシュ。ステンシル技法による彩色。
出版:Librairie des Arts Décoratifs(パリ)
寸法
56㎝(縦)/38㎝(横)
収蔵品番号
AC13479 2017-9-3

本品は20世紀前半を中心に活躍した芸術家、ソニア・ドローネー[1885-1979]が版画集出版のために制作したうちの一作品。色鮮やかな室内とシンプルな形の服をまとった5人の女性が平面的かつ抽象的に描き出されている。この版画集は、ソニアが1912年から25年にかけて描いた服飾や日用品のデザイン画の中から20点を選出して再制作し、25年の通称アール・デコ博(パリ)の開催に合わせて出版された。
1910年代、ソニアは夫ロベール・ドローネーが芸術家仲間のギヨーム・アポリネールやブレーズ・サンドラールらと共に提唱していた「同時的色彩(simultaneous color)」の概念に同調し、線描や明暗法を用いずに色彩の配置のみで事物を表現する術を模索した。その表現手法は絵画のみならず、服飾デザインや舞台衣装、テキスタイルやインテリアデザインなど多方面へと広がり、彼女の活動はトリスタン・ツァラをはじめ同時代の著名な芸術家達からも高く評価された。本品の画面構成にもその手法の特徴がみられ、鮮やかな色彩のコントラストが目を引く。本品の原画が描かれた1924年は、直線裁ちを多用した簡潔な構造の衣服が流行していたが、ソニアはそれと呼応するかのように直線的な色彩分割でデザインを施している。

1920s