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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ウェディング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Richard Haughton

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ウェディング・ドレス

1922年

デザイナー
マドレーヌ・ヴィオネ
ブランド
マドレーヌ・ヴィオネ
レーベル
Madeleine Vionnet(指紋あり)、No.14053(スタンプ)、No.4490(手書き)
素材・形状特徴
白の絹ファイユと絹チュール。直線裁ちされたくるぶし丈のワンピース・ドレス。後ろ腰に大きなボウと長いトレーン。袖口と、オーバースカートのチュールには、共布の小さなバラ飾り。
収蔵品番号
AC7007 91-15-3A

後ろでふわりと膨らんだボウがひときわ目を引く。あたかも、浮世絵に描かれている日本女性の帯のような効果をもたらしている。本品は、1922年6月27日、アルバート・ジャッケ博士とパリにて挙式したスザンヌ・ミッシェルが着用したウェディング・ドレスである。盛大な結婚式の様子がうかがえる写真や招待状、披露宴の品書きなどの資料も現存し、上流階級の女性たちを顧客としたヴィオネ店の一面を示している。ふんだんにちりばめられたバラ飾りはヴィオネの気に入りの装飾である。  マドレーヌ・ヴィオネ[1876-1975]は、修業したキャロ姉妹店でジャポニスムに興味を持ち、古代ギリシアの衣服とともに、日本のやきものや浮世絵に魅了されていた。第一次世界大戦後から20年代前半にかけて、ゆったりと身体を覆う平坦な作品や、キモノ・スリーブの作品などを多く製作した。そこには、身体に合わせて裁断する西欧伝統の服作りにはない、衣服と着用者の新しい関係性を探求しようとするヴィオネの姿勢をうかがうことができる。ダーツや切り替え線、複雑なアンダー・ボディスを駆使することを熟知した彼女にこそ可能となる、直線で裁断された布地が作り出す新鮮な表現に富んでいる。

1920s