KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

パンツ

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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パンツ

1970年代後半

デザイナー
ヴィヴィアン・ウエストウッド
ブランド
セディショナリーズ
レーベル
Ⓐ for soldiers prostitutes dykes + punks
素材・形状特徴
格子柄のウール・ツイル。グレーの綿パイルの尻当て。オープン・ファスナーとベルトの装飾。
収蔵品番号
AC10659 2001-29-3AB

伝統的なタータンと、ベルトやファスナーといった身体拘束を連想させるパンクの要素が融合したパンツ。1970年代後半、ロンドンのストリートでたむろする若者たちの間で流行したスタイルである。後に「パンクの女王」の異名をとるウエストウッドは、1971年、社会への反発に満ちた若者たちの代弁者としてロンドンのキングス・ストリートに「レット・イット・ロック」を開店し、引き裂いたシャツやボンデージといった過激なパンク・スタイルを打ち立てた。彼女の店はその後「セックス」や「セディショナリーズ」「ワールズ・エンド」など次々と店名を変更しながら求心力を高め、70年代のストリート・ファッションの先導的な役割を担った。本品は「セディショナリーズ」時代のもの。レーベルには「兵士、売春婦、レズビアン、そしてパンクのために」という権威への対抗意識がステイトメントとして掲げられている。その過激な精神はタータンを権威の象徴として取り込み、揶揄してみせた。しかしその後、権威側であったはずのタータンは次第にパンクの代名詞としてストリート・テイストの様相を帯びていくことになる。

1970s