KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス

1991年秋冬

デザイナー
川久保玲
ブランド
コム・デ・ギャルソン
レーベル
COMME des GARÇONS NOIR
素材・形状特徴
黒のシルク・タフタ。スカートに手描きの鶴。赤の𧘱。肩が露出したクリノリン風ドレス。
収蔵品番号
AC7076 92-7-4-AB

クリノリンを思わせる西洋的なフォルムのスカートに、友禅の絵師によって日本的な図柄が荒い筆致で自由に描かれた。アンダードレスにきもの特有の綿入れの赤い裾(𧘱)を入れることで、ドレスにアクセントが置かれ、同時に程よい重量感となってシルエットを美しく保っている。
このコレクションのキーワードは「シック・パンク」「ビニール」「綿入り」「ノワール」。既存の価値観に対抗する新しい創造を表現した。このコレクションの最後を飾ったのが、本品を含めた日本を連想させるイヴニング・ドレスだった。川久保は、制作意図を「非常にフォーマルなイヴニング・ドレスと、非常に素朴な子供らしい筆遣いを並置したかった」(『ヴォーグ(米)』1991年7月号)と語っている。
東西の伝統的な美を新たな表現へと変容させたこのドレスは、美意識を刺激し、興味をそそるものすべてが彼女の発想源となりえることを示している。

1990s