KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

パンツスーツ

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama.

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パンツスーツ

1996年春夏

デザイナー
中川正博、阿世知里香(LICA)
ブランド
20471120
レーベル
20471120
素材・形状特徴
黒地に白のメッシュ模様を織り出したナイロン/綿の平織り。ジャケットはシングルブレスティッドの4つ釦。
クレジット・ライン
小山壽美代氏寄贈
収蔵品番号
AC10158 99-30-21AB

黒のシンプルなシルエットに細く白いメッシュ模様が全面にあしらわれたスーツ。不規則にかすれ、一定間隔で球状に変形する織り柄は、コンピュータ・グラフィックス(CG)で作成された。
中川と阿世知は1992年にブランド「ベリッシマ」を設立。94年に「20471120」へと改称した。アニメや特撮ヒーローをモチーフにしたユーモアに富んだ服作りと、サーカス場や遊園地、ヘリポートなどで開催する大規模でエンタテインメント性の高いファッション・ショーで注目を集める。また、人型のキャラクター「HYOMA」を創作し、ブランドのアイコンとして活用したり、不要になった服をデザイナーがリメイクする「リサイクル・プロジェクト」を各地の美術館で開催するなど、ハイ・ファッション、ストリート・ファッション、サブカルチャー、アートといったジャンル間の敷居を低くすることに貢献した。
本品が発表された90年代半ばは、高性能ゲーム機「プレイステーション」や汎用OSソフト「Windows 95」が登場し、インターネットやCGなどの情報工学分野が一般に普及し始めた時期。デジタル化へ向かう社会を敏感に感じ取りながら、CG処理した画像を最もアナログな織り柄で再現するところに、このブランドのウィットが感じられる。

1990s