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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ジャケット、ブラウス、ショートパンツ、スニーカー

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ジャケット、ブラウス、ショートパンツ、スニーカー

2018年春夏

デザイナー
二コラ・ジェスキエール
ブランド
ルイ・ヴィトン
レーベル
LOUIS VUITTON PARIS
素材・形状特徴
ジャケットは銀色のレーヨン/ポリエステル・ダマスク。18世紀紳士服(アビ・ア・ラ・フランセーズ)風のデザイン。身頃、襟、袖、ポケットフラップに白・銀・青色による花模様のエンボス加工(樹脂プリント)と刺繍。白の絹平織のブラウス。袖口と襟にリボンとフリルの装飾。水色のレーヨン/絹のショートパンツ。灰色メッシュ地と牛革のスニーカー。
収蔵品番号
AC13618 2018-07AC、AC013619-2018-08AB

一見、18世紀フランスの宮廷用男性服、アビ・ア・ラ・フランセーズのようだが、本品は、アビ、ジレ、キュロットの三つ揃いに、レースが特徴的なジャボやスリーブ・ラッフルで構成された当時の装いとは大きく異なる。女性服であることにくわえ、樹脂によるエンボス加工の上に刺繍が施されたジャケット、化繊が混紡されたランニングパンツに牛革のスニーカー。18世紀には想像もできなかった組み合わせが、現代のテクノロジーを駆使し、軽やかで活動的に再解釈されている。そして、様々な時代の作品がひとつの空間に織り成すルーヴル美術館で開催された本コレクションを通じ、ジェスキエールは、コスチュームとファッションの境界をアナクロニックに問いかけている。流行りと廃り、そしてその歴史化という衣服が辿るプロセスを見つめ直すことで、いまや歴史衣装となった18世紀の盛装は、再びファッション=流行の息吹を吹き込まれるのである。

2010s