KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス

2018年春夏

デザイナー
川久保玲
ブランド
コム デ ギャルソン
レーベル
COMME des GARÇONS
素材・形状特徴
ポリエステル・キャンバスにイラストのインクジェット・プリント。リボン装飾とドット柄のトレーン。
収蔵品番号
AC13624 2018-11-2A

手足が隠れるほどたっぷりと体を包み込む大ぶりの形状のドレスに、大きな瞳の少女とその周囲で咲き誇る花々のイラストがインクジェットで色彩豊かにプリントされている。日本の少女マンガを想起させるイラストは、1950年代から80年代にかけて少女雑誌の表紙や挿絵などを手掛け、今や世界的に広がる日本発「かわいい文化」の立役者の一人である高橋真琴によるもの。高橋の絵は、大きく引き伸ばされることで、愛らしさだけでなく視覚的な強烈さを感じさせる。かわいらしさと力強さの融合、あるいはかわいらしさの中に潜む過激さや過剰さの表現を試みるデザイナー、川久保玲の作風が端的に表れた作品となっている。
本作が発表された2018年春夏コレクションのテーマは「マルチディメンショナル・グラフィティ」。高橋の他にも、16世紀イタリアの画家、ジュゼッペ・アルチンボルドや日本の戦国時代の水墨画家、雪村の作品などが服にプリントされた。古今東西、異なる時代や場所から集められた2次元のイメージは、恣意的に編集され、生地と共に切断され、3次元の服の形に再構成される。そこには、都市空間に突如現れるグラフィティ・アートがもつ脈絡のない自由さと強靭さを見ることができる。

2010s