KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takeru Koroda

画像にマウスカーソルを乗せると拡大します。

ドレス

2018年秋冬

デザイナー
黒河内真衣子
ブランド
Mame Kurogouchi
レーベル
Mame Kurogouchi
素材・形状特徴
白の絹とポリエステルの平織。ジャカード織、刺繍、プリントによる草花、果実柄。ヨークと袖上部に緑のレース。袖口部分は楊柳。ウエストと袖に黒の飾り紐。
収蔵品番号
AC13660 2018-25-2

ユリ、シャガ、笹、南天、かりん…。ドレス全体に配置された四季折々のみずみずしい草花や果実の描写は、あたかも春夏秋冬の植物を愛でる日本の屏風絵を見るかのようである。これらの図柄は、デザイナーの黒河内が自身の住まいやオフィスの周辺に植わる植物をスケッチし、ドレスの文様にデザインしたもの。それぞれの図柄を活かすため、織りは北陸、染めは京都、刺繍は桐生など産地を選定し、各地の専門加工会社による様々な技法が駆使されて縫い上げられた。
2011年春夏シーズンより東京でコレクションを発表していた黒河内は、本コレクションでその場をパリへ移した。この時にインスピレーションの源として立ち返ったのが、自身の回りにある自然、あるいは手仕事による素朴かつ丁寧に作られた品々だった。この二つの要素が取り込まれた本品は、野花や野草ですら丹念に写し取る旧来の日本の美意識が現代に表出した一着といえよう。

2010s