特別展《ラグジュアリー:ファッションの欲望》、開催決定
2008.10.31 Update
ラグジュアリー―――ファッションはなぜそれに魅了され、常に緊密な関係を保ってきたのでしょうか?
現在、産業の発展によって物質的に恵まれた生活を送ることができるようになった一方で、私たちが直面しているのは、グローバルな難しい諸問題の解決に取り組まなければならないという状況です。その中で、豊かさの一つの現れともいえる、ラグジュアリーに対する考え方は、必ずしも一様なものではありません。
本展では、17世紀から現代までのファッションをラグジュアリーという視点で切り取りながら、ラグジュアリーとファッションが時代や社会のなかでどのような関わりを持ってきたかを考え、今後の新たな方向を探っていきます。
「ラグジュアリー:ファッションと欲望」は「モードのジャポニスム」、「身体の夢」、「COLORSファッションと色彩」に続くカッティングエッジなファッション展として、京都服飾文化研究財団(KCI)のコレクションより、ラグジュアリーというテーマのもとに多角的な視点で精選した、17世紀から現代までの作品を展覧します。
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【開催要項】
タイトル:
ラグジュアリー:ファッションの欲望
Luxury in fashion Reconsidered
[京都会場]
会場――――――京都国立近代美術館
会期――――――2009年4月11日(土)~5月24日(日)
開館時間――――午前9時30分~午後5時
(金曜は午後8時まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日―――――月曜(ただし5月4日「祝・月」は開館)
主催――――――京都国立近代美術館、財団法人京都服飾文化研究財団
後援――――――文化庁、経済産業省、京都府、京都府教育委員会、京都市、
京都市教育委員会、京都市内博物館等連絡協議会、京都商工会議所
特別協力――――株式会社ワコール
協力――――――メゾン マルタン マルジェラ/ここのえ株式会社、
株式会社七彩、吉忠マネキン株式会社
認定――――――社団法人企業メセナ協議会
キュレーター―――河本信治(京都国立近代美術館学芸課長)
深井晃子(京都服飾文化研究財団チーフ・キュレーター)
観覧料―――――一般/当日:1,200円、前売:1,000円、団体:900円
大学生/当日:800円、前売:600円、団体:500円
高校生/当日:500円、前売:300円、団体:200円
*団体は20名以上、消費税込
*中学生以下、心身に障害のある方と付添者1名は無料
(入館の際に証明できるものをご提示ください)
*本料金でコレクション・ギャラリーもご覧になれます
お得なチケットの販売はこちら
[東京会場]
会場――――――東京都現代美術館
会期――――――2009年10月31日(土)~2010年1月17日(日)
開館時間――――午前10時~午後6時(入館は、閉館の30分前まで)
休館日―――――月曜(ただし11月23日、1月11日「祝・月」は開館。翌日火曜日閉館。)
年末年始(2009年12月28日(月)~2010年1月1日(金))
主催――――――東京都現代美術館、財団法人京都服飾文化研究財団
企画制作協力――京都国立近代美術館
キュレーター―――長谷川祐子(東京都現代美術館チーフ・キュレーター)
深井晃子(京都服飾文化研究財団チーフ・キュレーター)
観覧料―――――未定
【展示構成】
本展は、ラグジュアリーに深く結びつく要素をもとに、4セクションで構成します。
17世紀から現代までの服飾品90点を中心に、ラグジュアリーとは何かを考え、その本質を見つめ直します。
■セクション 1 「着飾るということは自分の力を示すこと」――Ostentation
と、パスカルは言っています。かつてから着ることの目的の一つは着る人の富や権力を誇示することでした。高価で希少な品で自らを過剰に飾り立てる行為は、人間の変わることない欲求といえます。一方で、この飽くなき情熱こそが職人を育て、芸術や産業を発展させていったことも歴史的な事実です。
このセクションでは、金糸や銀糸をふんだんに用いたきらびやかな衣装や多くの人の時間と手のわざを費やして作られた豪奢なテキスタイルのドレスなど、〈見せること=顕示〉をテーマとした服を中心に展示します。
■セクション 2 「削ぎ落とすことは飾ること」――Less is more
華美な装飾が好まれる一方で、近代は行き過ぎた豪華さを避け、シンプルで日常的なスタイルを望む方向へ向いました。とりわけ快適さや機能性がデザインに強く求められている現代において、その傾向は顕著です。それを可能にするのはデザインの造形性、素材に対するこだわりや簡素でありながらも衣服を美しく見せる高い技術力の存在です。
このセクションでは、シャネルの機能的なアンサンブルやバレンシアガの構築的なドレスなど、削ぎ落としたデザインの中に上質さと精緻な職人技が凝縮したオートクチュールの作品を中心に構成します。
■セクション 3 「冒険する精神」――Clothes are free-spirited
ラグジュアリーであることは物質的、金銭的なものだけにとどまりません。「今までにない服」の制作に挑戦する作り手。そのような服に出会い、作り手が込めた情熱を受け止めようと努力する着用者。両者の間に生まれる〈着る〉ことをめぐる濃密な体験もまた、精神的なラグジュアリーであるといえるでしょう。
このセクションでは、ファッションにおける〈美〉や〈洗練〉の価値転換を図ったデザイナー、川久保玲の作品を通じて、衣服の創造性とラグジュアリーの関係を考察します。
■セクション 4 「ひとつだけの服」――Uniqueness
希少なものには付加価値がつくことは誰しも認めることですが、何が希少かの判断は人によって大きく変わります。たとえいつも目にするものでも、ひとたび違う文脈に置かれれば世界にひとつだけの価値ある「unique」なものになりえるのです。これは、大量消費型社会からの転換を目指している現在において非常に有効な考えではないでしょうか。
このセクションでは、「一点もの」「リサイクル志向」「ハンドメイド」といった現在のラグジュアリーに結びつくメゾン・マルタン・マルジェラの一点ものの作品を展示します。
【主な出展品】(予定)
■セクション1 「着飾るということは自分の力を示すこと」――Ostentation
エリザベス1世にまつわるボディス[17世紀]
シルク・ブロケード製ローブ・ア・ラ・フランセーズ[18世紀]
メゾン・ウォルトのレセプション・ドレス[1900年頃]
仮装用衣装:ポール・ポワレの「千二夜」パーティ用[1910年代]
ウォルト、ガブリエル・シャネル[1920年代]
エルザ・スキャパレリ、クリスチャン・ディオール[1940~50年代]
ロイ・リキテンシュタイン、アンドレ・クレージュ、イヴ・サンローラン[1960年代]
ティエリー・ミュグレー、シャネル(カール・ラガーフェルド)[1980~90年代]
ヴィクター&ロルフ、バレンシアガ(ニコラ・ゲスキエール)、ルイ・ヴィトン(M・ジェイコブズ)
[2000年~]
■セクション2 「削ぎ落とすことは飾ること」―― Less is More
ポール・ポワレ[1910~1920年代]
マドレーヌ・ヴィオネ、ガブリエル・シャネル[1920~1930年代]
アリックス・グレ、クリスチャン・ディオール、クリストバル・バレンシアガ、アンドレ・クレージュ
[1940~60年代]
イヴ・サンローラン、アズディン・アライア、三宅一生[1980~90年代]
ランバン(アルベール・エルバス)[2000年~]
■セクション3 「冒険する精神」―― Clothes are free-spirited
コム・デ・ギャルソン(川久保玲)[1980年代~]
■セクション4 「一つだけの服」―― Uniqueness
マルタン・マルジェラによるアーティザナル・ライン
/メゾン マルタン マルジェラ[1990年代~]
[出展先]
京都服飾文化研究財団 約80点
メゾン マルタン マルジェラ/ここのえ株式会社 約 8点
*東京展では出展内容の一部が変更になる可能性があります。
【出展品画像】(一部)
18世紀の女性服・男性服
ガブリエル・シャネル ドレス 1928年頃
クリストバル・バレンシアガ コート 1957年秋冬
コム・デ・ギャルソン(川久保玲) コート、スカート 1983年秋冬
コム・デ・ギャルソン(川久保玲) ドレス 1987年春夏
(すべて京都服飾文化研究財団所蔵、撮影=広川泰士)
KCI's large fashion exhibition "Luxury in Fashion: Reconsidered" will be launched next spring.
Around 90 pieces dating from the eighteenth century to the present, selected from the KCI collection, will be displayed.
Title: "Luxury in fashion Reconsidered"
Date: 11 April 2009 - 24 May 2009 (Kyoto), 31 Oct. 2009 - 17 Jan. 2010 (Tokyo)
Venue: The National Museum of Modern Art, Kyoto, Museum of Contemporary Art Tokyo.