© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama
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イヴニング・コート
1900年頃
- デザイナー
- ジャン=フィリップ・ウォルト
- ブランド
- ウォルト店
- 素材・形状特徴
- ペール・グリーンの絹ベルベット。ニードルポイント・レースのアップリケ。緑色に染色したダチョウの羽根飾り。
- 収蔵品番号
- AC4160 81-27-21
ペール・グリーンの絹ベルベットのコートに白いレースが幅広くアップリケされ、ダチョウの羽根が豊かに飾られ、肩に施された黒い絹タフタが柔らかな色調を引き締める。おびただしい装飾は本品がイヴニング用であることを示し、また、当時のデザイン様式であるアール・ヌーヴォーの過剰な装飾性を伝える。
世界最大の鳥ならではの大きさと、飛ぶことのできない特性からふわふわとした質感を兼ね備えたダチョウの羽根は、古くから人々を魅了してきた。古代エジプトの王家でも珍重されたと言われ、欧州でも王室を初めとする特権階級だけに許された贅沢品だった。冠に3本のダチョウの羽根があしらわれた英国皇太子の徽章はその源を中世に遡ることができ、18世紀後期にフランスで出版された『百科全書』にも、羽根細工にとって最も重要な鳥種として孔雀、鷺と共に挙げられている(「Plumassier(羽根細工師)」の項。1774年版)。産業革命を経た19世紀、西洋の市民たちの消費欲が高まるなか、ダチョウ牧場が発展した。カリフォルニア、テキサス、南アフリカなどの牧場で大量の羽根が採取され、一般市民もダチョウの羽根で身を飾ることができるようになった。ただし、最高の品質とされたのは北アフリカか西アフリカに生息するダチョウの羽根。贅沢な素材使いで知られたウォルト店が手掛けた本品の羽根も、野生種に由来するものかもしれない。
1900s
KCI
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