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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ティー・ガウン

© The Kyoto Costume Institute, photo by Kazumi Kurigami

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ティー・ガウン

1895年頃 - 日本

素材・形状特徴
ピンクの精好。ジャボとプラストロンは楊柳。菊の刺繍。背にピエモンテーズ風プリーツ。ハンギング・スリーブ。裏地は羽二重に木綿の中綿を裏打ちした、ミシン・ステッチのキルティング。
収蔵品番号
AC6993 91-12-14

欧米の注文によって製作された日本製ティー・ガウン。19世紀末再流行した18世紀風、中世風のディテールがミックスされた形状である。日本で精好と呼ばれたタフタ地が用いられ、菊の刺繍が日本刺繍の技法、肉入縫いで施されている。
ティー・ガウンは19世紀後半から20世紀初頭に室内で着用された優雅なホステス・ドレス。身体を締め上げていたコルセットを緩めて着用することができた。パリでは多くの有名メゾンが、レ−スやフリルで装飾した贅沢なティー・ガウンを発表し、イギリスのリバティ商会に代表される、より実用的なものも人気があった。1875年設立のリバティ商会は日本の絹地や室内着を輸入、販売し、1890年には横浜に支店を出して日本の製造元と共に需要に応じた服の製作を行っていた。レーベルは欠落しているが、本品がリバティ商会から出た可能性は極めて高い。

1890s