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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

男性用ウエストコート

© The Kyoto Costume Institute

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男性用ウエストコート

1790年代後半 - フランス

素材・形状特徴
赤と白の横縞柄のカット・ベルベット。青、赤、水色のドット柄。ダブル・ブレスト。12個の刺繍された釦。後ろ身頃は茶の綿ツイル。
収蔵品番号
AC13441 2016-18-5

縞柄、折り返った衿、短い丈が特徴的な、フランス革命期の男性用ウエストコート。
17世紀末以来のイギリス趣味(アングロマニー)の流行は男性服に影響を与え続けた。とりわけ簡素で機能的なイギリス風の影響が広がったフランス革命直前、それまでの貴族の男性服を華々しく飾っていた刺繍は影を潜め、粋な縞柄が流行した。宮廷服やイブニング用を除くウエストコートは、1780年代、下裾を水平にカットした非常に短い丈となり、1790年代には大きな折り返し衿付きとなった。
マクシミリアン・ロベスピエールの肖像画(1790年頃、作者不詳、カルナヴァレ博物館)やルイ=レオポール・ボワリー(Louis-Léopold Boilly)による《サン・キュロットの扮装をした歌手シュナール》(1792年、カルナヴァレ博物館)には、折り返し衿付きの縞柄のウエストコートが描かれている。また、1785-89年のファッション雑誌『マガザン・デ・モード・ヌーヴェル(Magasin des modes nouvelles)』には、男女ともに縞柄の服が頻繁に登場し、1770年代からみられる縞柄がさらに流布したことを示している。
やがて革命後、19世紀前半の男性服から華やかさは全く失われ、衣服の色は暗く地味な色が主流になるが、ウエストコートが唯一、明るい色彩を取り入れた。

1780s-1790s