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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute

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イヴニング・ドレス

1938年

デザイナー
ジャンヌ・ランヴァン
ブランド
ランヴァン
レーベル
Jeanne Lanvin PARIS / 15 UNIS FRANCE
素材・形状特徴
プリーツ加工された白い絹サテンと黒いベルベットのリボン。黒い絹チュール。ビスティエとスカート。
収蔵品番号
AC13268 2015-33-2AB

黒と白の配色がモダンなイヴニング・ドレス。使用されたテキスタイルは、横縞柄の織物ではなく、幅4.7cmの白い絹サテンと黒い絹ベルベットのリボンが黒い絹チュールの上に交互に縫い留められたものである。ビスティエは5段、スカートは 21段のリボンで構成され、絹サテンとベルベットの異なる織組織の質感の相違が効果的である。さらに、それぞれのリボンは縫い留める前にプリーツ加工がされ、さらなる陰翳をもたらし、優美な作品に仕上がっている。装飾としてだけでなく、リボンそのものをドレスのテキスタイルとして扱う手法は、繊細で上品な作風を得意とするジャンヌ・ランヴァンによる1930 年代の作品に見られる。本品はその代表的な 作品の一つと言えよう。
本品の類型作品が、パリ市立衣装美術館(パレ・ガリエラ)に所蔵されている。それは半袖のボディスとスカートで構成され、赤い絹ベルベットと白い絹サテンのリボンを用いたレセプション・ドレス(1991.79.5AB)で、1938年夏の作品である。このドレスは、1938年7月、イギリスのジョージ6世と王妃のパリ来訪時のレセプションにおいて、フランス人の寄贈者が着用したものである。また、ランヴァン社が所蔵する1938年8月のアルバムにも、類似する黒と白の配色による半袖のボディスとスカートで構成されたドレスのデザイン画が残されており、そこには「Révérence(畏敬)」と題が付けられている。これらの類似する作品と本品によって、2色の絹ベルベットと絹サテンのリボンを使用した作品が、1938年夏に引き続いて 1938年冬の2シーズンに渡って作られていたことを示している。

1930s