© The Kyoto Costume Institute, photo by Taishi Hirokawa

Collection 09

服飾小物Accessories

© The Kyoto Costume Institute, photo by Taishi Hirokawa

1740-50年代 - イギリス

本品は絹ダマスク織の豪華な女性用靴。リボンによって甲を留めて着装する。ルイ14世に因む、太く、中央のヒール部分がカーブした形状のルイ・ヒールや、つま先がやや反り返った形状の本品は、当時の流行を示す品である。 18世紀の女性用靴は、優美で洗練されたロココ文化を表象する贅沢なアクセサリーの一つであった。盛装用には、ガウンと共布の精巧に織られた絹織物や刺繍によって装飾された靴が着装された。尚、当時の靴には左右の区別はなかった。

    素材・形状特徴グリーンとアイボリーの絹ダマスク。ヒールは木製。ルイ・ヒール。

    寸法23.5cm (長さ) / 7cm (幅) / 7cm (ヒール高)

    収蔵品番号AC4790 84-5-3AB

靴
© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

1860年代後半

中央アジアの刺繍布を用いてイギリスで製作された女性用の靴。東方の織物や刺繍工芸品が好まれた19世紀中期の特徴を示す好例である。
刺繍はウズベキスタンの都市ボカーラ(ブハラ)に伝わる手法で、多色の色糸で草花を描くボカーラ刺繍と呼ばれるもの。モチーフの輪郭を単色の糸でステッチし、そのなかを塗りつぶすように銀糸や色糸で刺していく。図柄はペルシャの影響を受けており、銀糸を多用するのもこの地方の特徴である。

デザイナー不詳

ブランドピーター・ロビンソン

レーベルPeter Robinson Ltd costume REGENT ST.W.

素材・形状特徴赤のウール平織。銀糸、多色糸で様式化された草花の刺繍。絹タフタのロゼット飾りにメタルのバックル付き。

寸法24.5cm (長さ) / 7cm (幅) / 4.3cm (ヒール高)

収蔵品番号AC4852 84-18-11AB

パンプス
© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

パンプス1920年代

赤と黒のコントラストが鮮やかなハイヒールのパンプス。1920年代に流行したストラップ装飾。当時、スカート丈は膝まで上がり、靴の重要度が増す。それに伴い靴職人とは一線を画す靴デザイナーが登場する。ポワレのために靴をデザインして名を広めたアンドレ・ペルージアは、20世紀前半を代表する靴デザイナーだった。靴職人としての技術と従軍時に培った工学的知識に根差した精緻なデザインが高く評価される。30年代には、エルザ・スキャパレリと共にシュルレアリスティックなデザインの靴を制作した。

デザイナーアンドレ・ペルージア

ブランドペルージア

レーベルPerugia BTÉS.G.D.G.21 AVEN.DAME.NICE 11.FAUBG ST HONORÉ PARIS

素材・形状特徴赤と黒の絹サテン。メタル・ビーズによる草花模様の刺繍。釦留めのストラップ。

寸法23.0cm (長さ) / 7.0cm (幅) / 8.0cm (ヒール高)

収蔵品番号AC9039 93-50-1AB

ヒール
© The Kyoto Costume Institute, photo by Taishi Hirokawa

ヒール1925年頃 - フランス

俗に「ジュエルド・ヒール」と呼ばれるアール・デコ期のヒール。靴を注文銚えする際のサンプルである。18世紀末から靴に応用されたエナメル加工、1909年に実用化されたベークライト等の樹脂加工で、艶やかな光沢を出している。その上に精緻な手仕事でラインストーンやメタル・ビーズが施され、幾何学的なデザインを見せている。
当時パリでは「ボーティエ(注文靴専門の職人)」がクチュリエたちと贅沢な靴を生み出し、アンドレ・ペルージアなど、靴のデザインにもその名を記すデザイナーが現れた。また1920年代は、西欧の女性が歴史上初めて膝下を露出し、靴の存在はそれまでに比べて重視されることになる。靴は機能性と共に小さな彫刻として歴史上さまざまな造型が登場した。その中で、アール・デコのデザインが反映されたこの時代の靴は、一種のオブジェとも言える特別な魅力を放っている。

素材・形状特徴エナメル、樹脂等により加工した皮革。ラインストーン、メタルビーズの装飾。木製。

サンダル
© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

サンダル1947年

「見えないサンダル」と名づけられた本品は、実用化されて間もない新素材ナイロンを採用している。ナイロン糸を甲から靴底に何度もくぐらせて形成した甲部分は、ナイロンの透明性のためにストラップ部分が浮いているように見え、見る者に不思議な印象を与える。彫刻的な美しさをみせる「F」の文字を模したウェッジ・ヒールはサルヴァトーレ・フェラガモ(1898-1960)の発案といわれる。大胆な曲線使いのヒールは一見すると不安定に感じる。だが、綿密な構造計算に支えられた技術によって履き心地の良さを生み出している。斬新な素材使い、新しいフォルムの創造、機能性の追及からはフェラガモの靴作りに対する真摯な姿勢が読み取れる。彼はこのサンダルによって、アメリカ・ファッションの最高賞、ニーマン・マーカス賞を受賞した。
イタリア生まれのフェラガモは9歳より靴作りを始め、11歳で自身の店を持つ。15歳で渡米して以降、ハリウッド俳優らから支持を得て名声を高めた。あくなき探求心を持つフェラガモは南カリフォルニア大学で解剖学を学び、そこで得られた知識を靴作りに生かす。1927年にイタリアに戻り、フィレンツェで靴店を開業。以後、世界中の女優や各国の王族を顧客とした。

デザイナーサルヴァトーレ・フェラガモ

ブランドサルヴァトーレ・フェラガモ

レーベルFERRAGAMO'S

素材・形状特徴黒いウェッジ・ヒールに対比的な透明の甲部分。ヒール部分は木に黒のスウェード張り。甲部分は透明のナイロン糸。ストラップに金属製のバックル。

寸法22cm (長さ) / 7.7cm (幅) / 6.5cm (ヒール高)

収蔵品番号AC11714 2007-34AB

パンプス
© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

パンプス1950年代後半

ヴィヴィエがディオールのために制作したパンプス。華奢なつま先とかかとは、1950年代の典型的なスタイルである。オートクチュール・メゾンはドレスだけでなく、バッグ、靴などのアクセサリーをトータルにそろえ、隙のない贅沢な装いを提案した。
ヴィヴィエは1937年に独立し、ディオールのための靴を53年から制作した。彼の華麗な靴は、ディオールのドレスが持つ贅沢なエレガンスと共鳴するものだった。英国エリザベス女王の戴冠式の他、ウィンザー公爵夫人、エリザベス・テーラーなど名だたる女性たちがヴィヴィエの靴の虜となった。

デザイナーロジェ・ヴィヴィエ

ブランドクリスチャン・ディオール

レーベルChristian Dior créé par Roger Vivier RITZ

素材・形状特徴アイス・グリーンの絹ツイルに水玉のプリント。リボン飾り。

収蔵品番号AC5419 86-31-3AB

サンダル
© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

サンダル1999年秋冬

プラダのディフュージョン・ブランド、ミュウ・ミュウのサンダル。靴底はスニーカーなどに使われるラバーソール。ドライヴィング・シューズ風の滑り止め、プラスティックのヒール、踵部分のスニーカーのようなエナメル使いが軽くスポーティな印象を与えている。
高級鞄店として出発したプラダは素材に皮革を使うという常識をくつがえして機能的なナイロンのバッグを発売し、人気を博したブランド。エレガントなアイテムに斬新で機能的な素材を巧妙に用いるバランス感覚は本品にも現れている。

デザイナーミウッチャ・プラダ

ブランドミュウ・ミュウ

レーベルMIU MIU MADE IN ITALY

素材・形状特徴緑のスエードやエナメル。ラバーソール。プラスティックのヒール。サイズ38。寸法10.5cm(ヒール高さ)

収蔵品番号AC10373 2000-39AD