© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

Collection 03

アンダーウエアUnderwear

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

コルセット1880年代 - フランス

マネが描いた《ナナ》(1877年)を彷彿とさせるようなコルセット。中央のバスクとボーンにより、胴から腹部にかけての曲線を形作りながら下腹部をすっきりと整えている。女性は理想の体型に近づこうと、20世紀初頭までコルセットでウエストを締め続けた。近代的な産業の発達により創意工夫をこらしたさまざまなコルセットが生まれ、特に鉄の鳩目が1828年に導入されてから、締めるという機能は飛躍的に高まった。

    素材・形状特徴青の絹サテン。スティール・バスク、ボーン。

    寸法76cm (胸囲) / 49cm (胴囲)

    収蔵品番号AC212 77-11-52AB

袖付きコルセット[左]<br>コルセット[右]<br>子供用コルセット[中]
© The Kyoto Costume Institute, photo by Toru Kogure

袖付きコルセット[左]
コルセット[右]
子供用コルセット[中]
1760年頃 - フランス?[左] 18世紀中期 - アメリカ[中] 18世紀初期 - フランス[右]

上半身に付ける一種の胴衣であるコルセットは、下着用に使われる簡素なものと、室内でのくつろぎ用の装飾を施したものがあり、後者には袖付きのものもあった。 フランスでは中世以来、それぞれ専門の同業組合が結成され、厳しく専門性が守られており、衣服の仕立ては男性の仕事だった。しかし、1675年に女性が服作りに携わる資格を与えられ(ディドロ『百科全書』)、女性の仕立師(クチュリエール)も登場するが、鯨骨などの硬い材質を縫い込むための力を必要としていたコルセットの製造は、男性仕立師(タイユール)に限られていた。

素材・形状特徴ペール・ブルーに花柄の絹ブロケード。前後で紐締め。リボン結びの袖。全体にボーン入り。[左]
ベージュの麻の平織に革の縁取り。全体にボーン入り。[中]
オレンジの絹ファイユ。銀のブレードの縁飾り。背と両サイドは紐締め。前中央内部にポケット付き。全体にボーン入り。[右]

収蔵品番号AC224 77-11-64AD [左]
AC6379 89-17-51 [中]
AC9 77-5-2AC [右]

コルセット
© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

コルセット1880年代 - イギリス

前中心の金属製スプーン型バスク(芯)と、サテン地のテキスタイルが1880年代の流行を伝えるコルセット。スプーン型のバスクは、カーブしている部分で下腹部をおさえるため、内臓への圧迫が少ないと考えられ、1870年代半ばから80年代後半に用いられた。また、コルセットの左後ろ裾に付いた丸い金紙には、イギリス・アイゾッド社の特許技術が用いられていることを示す浮き押しの文字が刻印されている。碇(いかり)がトレードマークである同社は、エドゥイン・アイゾッド[1826-87]によって19世紀中期に設立されたコルセット・メーカー。彼が1868年に「スチーム成形法」を考案したことにより、アイゾッド社のコルセットは美しい曲線を実現した。スチーム成形法とは、蒸気で温められた銅製の鋳型ボディに糊の付いた濡れた布を押しあてて乾かすことで、コルセットのテキスタイルと挿入されるボーンを思い通りの曲線に形作る技術。本品には、1880年代まで使用されたと言われる同社の技術が生かされている。

レーベルIZOD’S PATENT MOULDED SEWN CORSETS

素材・形状特徴白の絹サテン。レースの縁飾り、前中心に絹サテンのリボンとタッセル。金属製スプーン型バスク、ボーン。

収蔵品番号AC2901 79-28-5AC

ブラジャー
© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

ブラジャー1920年代 - 製作国不詳

薄く、柔らかい素材と平面的な形状が特徴。バンドと呼ばれたのは、乳房を押し上げるのではなく、平にするために使われたからである。「ギャルソンヌ」(フランス語「男の子」を女性形にした合成語)と呼ばれた当時の活動的な新しい女性達の、女性らしい体の線を消すためのファッションに呼応している。20世紀のファッションは新しい方向へと歩み始めた。長い間女性たちの体を締め続け、同時に胸を支え、乳房の女性らしさを強調する役目を果たしてきたコルセットは、第一次大戦後には完全に捨て去られた。それによって新たな下着、ブラジャーが登場したのである。日本に初めて入ってきたブラジャーは、このタイプのもので「乳バンド」などと呼ばれた。

素材・形状特徴ピンクの絹ジョーゼット。レースはめ込み。花飾り。

寸法80.0cm (バスト) / 68.0cm (アンダーバスト)

収蔵品番号AC1586 78-40-37

コルセット
© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

コルセット1580-1600年頃 フランス

コルセットの起源を正確に突き止めることはできないが、原形とみなせるものが16世紀に存在している。同じ頃、きわめて堅牢なコルセットが登場した。鉄製のコルセットである。本品は、幾何学と唐草模様が打ち抜かれた装飾的な鉄板を前身頃1枚、後ろ身頃2枚、円錐形になるよう曲げて、両脇の蝶番で後ろ中心を開閉する。現存数が少なく、当時の記録もほとんどないため用途や着用例を考証できるまでにはいたってないが、身体の整形用と考えられている(『アカデミー・フランセーズ辞典』の初版(1694年)では「鉄製のコールcorps de fer」について「せむしの予防用」と説明している)。

素材・形状特徴幾何学と唐草模様が打ち抜かれた鉄板

クレジット・ライン株式会社ワコール寄贈

収蔵品番号AC9250 95-33