KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ポケット

© The Kyoto Costume Institute, photo by Mai Narita

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ポケット

1770年代 - 製作国不詳

素材・形状特徴
白い麻の平織。青い絹糸の草花模様の刺繍。紐付き。
寸法
縦39.5cm/横25.5cm
収蔵品番号
AC5660 87-32

本品は、18世紀の上流階級の女性が携帯品を収納するために使用したポケットである。前面には物を出し入れするためのスリットが入っている。濃淡の異なる青色の絹糸で刺繍された草花模様は、アウトライン・ステッチとサテン・ステッチで同じモチーフが繰り返されている。
当時の女性が手に持つバッグは小さくて実用性に乏しく、ドレス本体にはポケットがついていないことが多かった。そのため、本品のような取り付け型のポケットを使用した。装着方法は、下着の上からウエストに紐で巻きつけ、その上からドレスを着用する。対になったポケットには、ドレスのウエストの左右にあるスリットから、手を差し込むことができた。当時の靴下留め(ガーターベルト)と同様に外からは見えないが、愛らしい刺繍で装飾されている。

1760s-1770s