KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

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© The Kyoto Costume Institute, photo by Richard Haughton

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1889年頃 - フランス

ブランド
J・ベロー社
素材・形状特徴
アイボリー色のシルク・サテンにランセとブロシェで織り出された昼顔と禾本科植物の花
寸法
153㎝(長さ)×66㎝(幅)
収蔵品番号
AC7601 92-23-9

19世紀末、日本への眼は植物の世界にもおこった。本品には西欧で主役として登場することのなかった稲科植物や草花が、ひときわ印象的に、摘み取ったばかりの自然な姿で写実的に表現されている。アイボリー色の絹サテン地に、非常に洗練された織技法で、昼顔の花と葉はブロシェ(broché)で、稲科植物はランセ(lancé)とリズレ(liseré)で表現されている。ブロシェはその紋様を織り出す緯糸がモチーフ内に限られて使われる織技法に対し、ランセは織物の全幅に渡って緯糸が通されてモチーフ部分にみ表に現れて紋様が織り出される。リズレは同じ緯糸が地にも紋様にも使われる。本品は、リヨンのベロー社が1889年の万博に出展し会場で異彩を放っていたという作品と同じデザイン。同じものがリヨン織物装飾芸術博物館に収蔵されている(Inv. 24889)

1870s-1880s