KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

コルセット

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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コルセット

1880年代 - イギリス

レーベル
IZOD’S PATENT MOULDED SEWN CORSETS
素材・形状特徴
白の絹サテン。レースの縁飾り、前中心に絹サテンのリボンとタッセル。金属製スプーン型バスク、ボーン。
収蔵品番号
AC2901 79-28-5AC

前中心の金属製スプーン型バスク(芯)と、サテン地のテキスタイルが1880年代の流行を伝えるコルセット。スプーン型のバスクは、カーブしている部分で下腹部をおさえるため、内臓への圧迫が少ないと考えられ、1870年代半ばから80年代後半に用いられた。また、コルセットの左後ろ裾に付いた丸い金紙には、イギリス・アイゾッド社の特許技術が用いられていることを示す浮き押しの文字が刻印されている。碇(いかり)がトレードマークである同社は、エドゥイン・アイゾッド[1826-87]によって19世紀中期に設立されたコルセット・メーカー。彼が1868年に「スチーム成形法」を考案したことにより、アイゾッド社のコルセットは美しい曲線を実現した。スチーム成形法とは、蒸気で温められた銅製の鋳型ボディに糊の付いた濡れた布を押しあてて乾かすことで、コルセットのテキスタイルと挿入されるボーンを思い通りの曲線に形作る技術。本品には、1880年代まで使用されたと言われる同社の技術が生かされている。

1870s-1880s