KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス

1984年秋冬 - フランス

デザイナー
ティエリー・ミュグレー
ブランド
ティエリー・ミュグレー
レーベル
無し
素材・形状特徴
金色のポリエステル・ラメのワンピース・ドレス。ウエスト前中心から放射状に広がる細かいサンバースト・プリーツ。共布のトレーン。幅広で上部が極端に鋭く張り出した袖に太いプリーツがランダムに畳まれている。肩に大きなパッド。
クレジット・ライン
ティエリー・ミュグレー氏寄贈
収蔵品番号
AC5092 85-11-1

全体にプリーツが施されたワンピース・ドレス。細かく規則正しく折り畳まれたプリーツによって布地は着用者のボディを締め付けることなく、そのシルエットを浮き立たせる。ここで求められる理想のボディは、エクササイズとダイエットで贅肉を削ぎ落とした現代のしなやかな身体である。また、金色のラメのきらめきとプリーツの立体感とが織り成す複雑で艶やかなテクスチャーの視覚的効果は、着る者も見る者も別世界へと誘う。
ミュグレーはファッション・ショーにスペクタクルの要素を早くから取り入れたデザイナーであった。本品が発表された1984年秋冬コレクションは、ブランド設立10周年の記念イベントを兼ねてパリのコンサートホール「Zénith」で開催。招待客2,000人、有料一般入場者4,000人というファッション・ショーとしては異例の大観衆の前で巨大なスペクタクル・ショーが繰り広げられた。バレエ・ダンサーとして少年時代を過ごしたミュグレーにとって、身体と衣服の華麗なる邂逅は豪華絢爛な祝祭的空間でこそ成し遂げられるものだったのかもしれない。

1980s