KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス

1989年秋冬

デザイナー
森英恵
ブランド
ハナエ・モリ・ブティック
レーベル
Hanae Mori Boutique
素材・形状特徴
絹シフォンに毛筆で書かれた和歌をプリント。
収蔵品番号
AC13457 2016-28

薄い絹シフォンに日本独自の文字である平仮名で和歌が、流麗かつ大胆に配置されている。毛筆による墨文字は反転して黒地に白く浮かびあがり、緩やかな筆致の印象を一層際立たせている。直線的なドレスやふわりとした袖に書かれた縦書きの文字列は、はかなげな薄地のドレスは身体の動きに合わせてゆらゆらとゆれる。
きものに文様と併せて漢字や平仮名を置くという意匠は平安時代から始まり、17世紀ごろから流行が広がった。以降、粋な表現として度々現れた。詩歌や物語からデザインの題材をとることが多いきものに、文字は意味を伝え、意匠を楽しむものとしてしばしば登場する。本品は文意から離れ、和歌の一部をデザイン化している。
1965年にニューヨークで初の海外コレクションを発表した森は、当初から日本の伝統美を意識したデザインを欧米の服に適合させ、欧米のメディアから注目を浴びた。1977年には東洋人として初めてパリ・オートクチュールへの参加が認められたが、その時に発表した作品にも墨絵や文字の意匠が見られ、森の作風を特徴づけるものとなった。

1980s