KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

画像にマウスカーソルを乗せると拡大します。

ドレス

2009年秋冬

デザイナー
山縣良和、玉井健太郎
ブランド
リトゥンアフターワーズ
レーベル
writtenafterwards
素材・形状特徴
ガムテープやステープルで成形した台紙に貝殻、パール、発泡スチロール、プラスチック製フォーク、CD盤、アルミ箔、古紙などをフィルムテープやガムテープで貼り付け。
収蔵品番号
AC12051 2009-24

アシンメトリーで不規則なドレスのシルエットは紙とガムテープで形作られ、胸部にはめ込まれた2枚のCD盤がひと際目を引く。他にも発泡スチロール、プラスチックのカトラリー、アルミ箔など、私たちが日常的に目にするものが装飾に用いられている。一方で、衣服の一般的な素材である布地は一切使われていない。布を敢えて使わないことが、リトゥンアフターワーズのこのシーズンでの試みでもある。
リトゥンアフターワーズは山縣良和、玉井健太郎の二人が2007年に設立したブランド。共にセントラル・セントマーティンズ美術大学を卒業し、山縣はジョン・ガリアーノ、玉井はマーガレット・ハウエルでアシスタントを務めた後、それぞれ帰国。在学中から知り合いだった二人でブランドを立ち上げた。
本品を発表した2009年秋冬コレクションのテーマは、「graduate fashion show - 0 points -」。ファッション・デザイナーを目指す学生たちの出発点(ゼロ・ポイント)となる卒業コレクションから着想し、実際に服飾専門学校や美術学校の卒業制作の際に出た廃材や不用品を収集、それを素材に作品を制作した。また、「0 points」は、学業成績の「0点」も意味している。卒業制作で捨てられた、いわば0点と評価された素材に、デザイナーは創作の痕跡、新しいファッションの可能性を見出そうとしている。

2000s