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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス「レイチェル」

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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ドレス「レイチェル」

2005年春夏

デザイナー
ヴィクター・ホスティン、ロルフ・スノラン
ブランド
ヴィクター&ロルフ
レーベル
V&R
素材・形状特徴
黒の絹サテンのワンピース・ドレスに黒いモアレのボウを装飾。アンダー・ボディスはコットンとレーヨンのジャカード。スパイラルボーン入り。胸中心に黒いモワレのロゼットを留めている。黒のヘルメットは「アライ」製。
収蔵品番号
AC11307 2005-05-02-AC

顔を覆い隠すヘルメットにロゼット(リボンのバラ飾り)を思わせる漆黒のドレス。2005年春夏コレクション「フラワーボム」において多用されるモチーフは「リボン」である。ときに装飾品として贅沢の誇示を、ときにエロティシズムを喚起させるように、リボンは歴史のなかで多義的な象徴性が付与されてきた。二部構成の本コレクションでは、本品のような様々な形状のリボンが付いた黒一色のシリーズが登場した後、ステージが回転し、赤やピンク、金を基調とした色彩豊かなデザイン群へと様変わりする。「マスキュリンとフェミニンのコントラスト、静と動のコントラスト等々…。それらを表現するのにリボンは最も適したモチーフなのです」とデザイナーが述べるように(『モード・ェ・モード』第330号、モード・ェ・モード社、2005年、157頁)、ここではリボンの二面性が強調される。ここでは、贈り物を繙くリボンのポジティヴなイメージと対置されるように、何かを封じ込めたり、好奇心から包みを開けたりすることを躊躇させる不穏な側面が表現される。

2000s