KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ラップ

© The Kyoto Costume Institute, photo by Richard Haughton

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イヴニング・ラップ

1915年頃

デザイナー
不詳
ブランド
リバティ商会
レーベル
無し
素材・形状特徴
シルクとレーヨンの交織。孔雀の羽根柄のブロケード。裏地はオレンジ色のシルク・タフタ。
収蔵品番号
AC7761 93-18-2

直線的な裁断を多用した平面的な構成のイヴニング・ラップである。孔雀の尾羽の柄を多色で織り出したブロケードには、左右にしなる尾羽の優美な動きが律動的に表現されている。衿元を折り返すことによってオレンジ色の裏地が現れ、藤色を基調とした表地との色彩の対比を楽しむことができる。
1877年、リバティ商会は孔雀の尾羽の柄をプリントした室内装飾用テキスタイルを発表した。デザインはイギリス人のデザイナー、アーサー・シルヴァーによる。このデザイン「ヘラ」は色や素材を変えて服飾にも展開された。本品のテキスタイルは「ヘラ」ではないものの、メトロポリタン美術館が「ヘラ」を使ったラップ(1910-1915)を所蔵しており、裏地との色彩対比を狙った仕立てに本品との類似性を見出だすことができる。また、同商会の1923年のカタログには、本品と同じく左右にしなる孔雀の尾羽をデザインしたベルベット・ブロケーディド・ジョーゼットのチュニックが掲載されている。本品がリバティ商会の作である可能性は高い。

1910s