KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Richard Haughton

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イヴニング・ドレス

1913年頃

デザイナー
不詳
ブランド
ウォルト店[推定]
素材・形状特徴
クリーム色の絹サテンとチュールのドレス。前身頃は二重仕立てでチュニック風。白・銀ビーズによる日本の文様風モチーフの刺繍。ビーズのチェーンの装飾付き。銀のサシュ・ベルト。裾はトレーンを引く。
収蔵品番号
AC7764 93-18-5

白や銀のビーズ刺繍による表現が豪華であるこのチュニック風イヴニング・ドレスは、ウォルト店製と伝えられている。日本の文様と思しきモチーフがドレス全体に表現され、きもののお引きずりを思わせる丸味のある優美なトレーンなどにも、梅の花が配されている。  1910年前後のフランスのファッションには、浮世絵に描かれた美人の服装から発想されたようなイメージが多く見出される。本作も、浮世絵美人がお引きずりのきものを着ているようなシルエットを見せている。またドレス全体に角輪違文や霞文、花菱文などを組み合わせたような図柄が大胆に配置され、江戸中期に流行したきものの図柄が思い起こされる。欧米の画家やデザイナーたちは、19世紀後半以降、浮世絵のほか、広く流布するようになっていた美術・工芸品、さらには、クリストファー・ドレッサーやT.W. カトラーなどにより次々に出版された日本の装飾文様に関する出版物を通じて、日本の意匠を目にする機会は大幅に増えていた。

1910s