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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

テキスタイル(部分)

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

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テキスタイル(部分)

1910年頃 - 日本

デザイナー
不詳
ブランド
不詳
レーベル
No.16 S. EBARA KIRYU JOSHU JAPAN
素材・形状特徴
白無地平織の絹羽二重。日本からの輸出品。
寸法
布幅93㎝
収蔵品番号
AC10301 2000-11

輸出用羽二重。布端中央部に「SILK MADE IN JAPAN」「PASSED BY SILK INSPECTION OFFICE・IMPERIAL JAPANESE GOVERNMENT」の検印がある。1905(明治38)年、農商務省から輸出羽二重取締規約が公布され、府県に設置された羽二重検査所が品質管理を行った。本品はその検印と推察される。耳の右端には「No.16 S. EBARA...」と印があり、羽二重の産地の一つ、上州(群馬県)桐生の江原庄兵衛が仕上げたとわかる。1904(明治37)年に刊行された『群馬県織物業沿革調査書』に桐生の主な輸出織物整理業者として江原の名がみえ、1913(大正2)年には、羽二重の大産地となった福井県に精錬技術の指導に赴いている。 本品の布幅は93㎝、つまり鯨尺2尺4寸で、1910(明治43)年発行の『内外商品辞彙』に記された典型的な輸出用羽二重の幅の一つに当てはまる。当時一反の長さは一般的に50ヤード(約45.7m)で取引されており、本品の大半は輸出後に切り取られたと思われる。羽二重は明治期における日本の代表的な輸出絹織物で、第一次世界大戦頃までは絹物総輸出額の7~8割を占めていた。平織、紋織、綾織などの種類があり、ほとんどが白無地であった。

1910s