KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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イヴニング・ドレス

1913年頃

デザイナー
ジョルジュ・ドゥイエ
ブランド
ドゥイエ
レーベル
Dœuillet 18 PLACE VENDOME PARIS
素材・形状特徴
ブルーのベルベット。サッシュ・ベルトのようにはめ込んだシルク・サテンに花柄を金糸とビーズで刺繍し、背中で結んだ帯風。キモノ袖。胸、袖口にレース飾り付き。
収蔵品番号
AC9313 96-8-1

身頃に縫いとめたサッシュ・ベルトは兵児帯(へこおび)のようであり、袖はキモノ・スリーブである。これら本品に見られる要素は、1907年頃から登場するきもの風ドレスの傾向を顕著に示している。とりわけ1913年頃には本品のような幅広のサッシュ・ベルトが女性誌に数多く登場している。
フランス人のジョルジュ・ドゥイエ[1865-1934]はキャロ姉妹店の営業責任者として活躍した後、1900年、パリのヴァンドーム広場にオートクチュールメゾンを開店した。時代が要請した優雅で装飾性の高いドレスを提案したが、1909年前後には古代ギリシアの「アテナイ人のフレキシブルな衣服を今日風に改めた」(『ラ・ヴィユ・ルミエール』1909年、パリ、p.77)と表現された。より簡潔なラインの作品を発表。ポール・ポワレが牽引した新しいファッションに俊敏に反応するドゥイエの姿をうかがうことができる。

1910s