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京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・コート

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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イヴニング・コート

1913年頃

デザイナー
エイミー・リンカー
ブランド
エイミー・リンカー
レーベル
AMY LINKER LINKER & Co. Sps. 7 RUE AUBER PARIS
素材・形状特徴
黒の絹サテンと黄緑の絹クレープ。黒と緑の絹サテンを段に折り重ねた衿。花文あるいはオリエンタル・モチーフのビーズ刺繍。
収蔵品番号
AC3775 81-8-1

打掛のようなシルエットのコート。当時のファッション誌で「マントー・ジャポネ」と呼ばれたこのシルエットは、浮世絵に描かれた花魁、あるいは歌舞伎役者の打掛を思わせる。大胆な縞の衿は、歌舞伎衣装の伊達衿だろうか。ビーズ刺繍で表現された花のような文様は花勝見(はなかつみ)と呼ばれ、江戸後期に、歌舞伎役者が好んだことから流行した日本の伝統的な文様とも見える。だが、背面のボーダー飾りは古代地中海の文様とも似ており、パルメットといえるかもしれない。本品は、1910年代初めの流行である東洋風の折衷的要素が詰め込まれたコートである。 エイミー・リンカー店は、1900年、パリで開店。コートやスーツを得意とし、20世紀初期にはファッション誌に頻繁に新作が取り上げられていた。1920年代にはスポーティなファッションを提案したことで知られる。

1910s