KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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ドレス

1923年頃

デザイナー
ブエ姉妹
ブランド
ブエ姉妹
レーベル
BOUÉ SŒURS 9 Rue de la paix Paris 13 west 56th st. N.Y.
素材・形状特徴
ピンクの絹タフタチェンジャブル、綿オーガンジーの手刺繍と花飾り。
収蔵品番号
AC4222 1982-10-13

パステルカラーのピンクに薄いグレーを配したブエ姉妹らしい色選びと軽やかな素材使いが映える作品である。色調やフォルムが18世紀の宮廷衣装を想起させる。その特徴は、折り返された身頃前端からのぞく小花の刺繍を散らした薄グレーの装飾的なストマッカー風の胸元や、たっぷりとしたギャザーがよせられて両側にボリュームを添えた部分的なオーバースカートである。それは、あたかもローブ(上衣)の下からのぞくペチコートのような効果をだしている。部分的なシルクリボンで作られた薔薇飾りは、ブエ・ローズと呼ばれるブランドのアイコンである。
ブエ姉妹のクリエーションを担っていたシルヴィー・ブエは、美術館に足しげく通い、18世紀ロココ時代の絵画にあらわれる女性服にインスピレーションを求めた。1920年代、フラッパーガール、ギャルソンヌといった活動的な女性たちの登場により、機能的でシンプル、細長いシルエットが流行していた。その一方で、ブエ姉妹の作り出した細かい手仕事が優雅に光る品の良いフェミニンなドレスは伝統美を好む顧客の心をつかんでいた。

1920s