KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・コート

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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イヴニング・コート

1925年頃

デザイナー
ポール・ポワレ
ブランド
ポール・ポワレ
レーベル
PAUL POIRET a Paris
素材・形状特徴
絹と金ラメの平織。多色の型紙風の図柄。衿と袖口に緑の絹ベルベットのトリミング。
収蔵品番号
AC6279 89-1

経糸に文様を多色で先染めし、緯糸に金色のループ糸を使用した複雑で高度な織の技術を要するテキスタイルのコート。図柄にちりばめられた花、扇や手鞠など日本の染色用型紙や千代紙に見られる文様を模している。これらの様式化された幾何学的な図柄は、1920年頃からパリで盛んになり始めたラメ地に表現され、緻密な工芸品を思わせる輝きを放っている。 19世紀後半から20世紀初期にかけて、欧米に渡った日本の染色用型紙や千代紙は「当時の芸術家を大いに刺激し、工芸品、室内装飾とともに染織品にも多数応用された。1911年4月にテキスタイル工房マルティーヌを設立したポール・ポワレもまた日本の図柄やテキスタイルに関心を示したデザイナーの一人であり、本品の図柄は幾何学的かつ素朴さを併せ持ったマルティーヌの捺染作品を彷彿とさせる。

1920s