KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Masayuki Hayashi

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ドレス

1920年代

デザイナー
ポール・ポワレ
ブランド
ポール・ポワレ
レーベル
(判読不能のスタンプ)
素材・形状特徴
黒とグレーの絹クレープのワンピース・ドレス。地は分銅繋ぎと梅文の紋織り。絞り染め。共布のボウ・カラーとベルト。
収蔵品番号
AC11551 2006-17-1AC

ポール・ポワレ[1879-1944]の妻、ドニーズが所有したとされる1920年代の羽織風ワンピース・ドレス。分銅繋ぎ文のなかに梅文が配置されており、桶染のようにグレーと黒に染め分けられている。また裏地には朱印が押されており、生地は日本の輸出用製品であろうか。羽織のような衿は、ストールを首に巻くようにして作りだす。ワンピース・ドレスだが、グレーのきものの上に、黒紋付の羽織を羽織っているように見える仕立になっている。ポワレはテキスタイル。デザインに対して深い関心を寄せたデザイナーであり、世界各地の異国情緒あふれる生地を使用した。
ポワレはドゥーセ店、ウォルト店を経て、1903年にメゾンを開店した。20世紀初頭の時代感覚を鋭く感知し、ファッションの新しい方向性を捉え、先導した。1906年コルセットなしのドレスを発表し、日本やバレエ・リュスの影響を受けた東洋的な作品を次々と発表した。19世紀までの身体を束縛する服から、直線的な裁断、ゆるやかさを追求しようとした時、そのイメージの元となったのは、多様な異郷の服の要素だった。

1920s