KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

コート「マンダリン」

© The Kyoto Costume Institute, photo by Richard Haughton

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コート「マンダリン」

1923年頃

デザイナー
ポール・ポワレ
ブランド
ポール・ポワレ
レーベル
PAUL POIRET a Paris
素材・形状特徴
黒のウール・ツイルに多色の刺繍。ウイング・カラー。
収蔵品番号
AC6382 89-18

ボーべ刺繍による細かいチェーン・ステッチで、籬に菊、雄鶏、松、水文、雲、滝といったモチーフを描き出したウール・コート。本来、「マンダリン」は中国清朝の高級官吏を意味し、ポワレはこのコートを「マンダリン」と名付けている。しかし、ポワレは1903年に発表したキモノ・コートを「孔子コート」と名付けている様に、中国と日本とを必ずしも明確には区別していなかった。モチーフは左右対称という西洋の配置となって、折衷主義者としてのポワレの特質をよくあらわしている。『フェミナ』誌1923年に本品を着用したスナップが掲載されているが、この年のファッション雑誌各誌に、中国や中国趣味に関する記事が見られる。同年夏にオペラ座で開かれた中国風ダンス・パーティーで、ポワレはマンダリンに扮した。

1920s