KCIDigital Archives

京都服飾文化研究財団(KCI)の収蔵品から選りすぐった作品を、画像と解説付きでご覧いただけます。

イヴニング・ドレス

© The Kyoto Costume Institute, photo by Takashi Hatakeyama

画像にマウスカーソルを乗せると拡大します。

イヴニング・ドレス

1927年

デザイナー
マドレーヌ・ヴィオネ
レーベル
無し
素材・形状特徴
黒い絹ゴ-ズに金糸刺繍。エジプト風幾何学模様。タッセル付き
収蔵品番号
AC6815 90-24-3

オリエンタル・イメージの絹糸と金糸のタッセル飾りが、右肩から落ちるタイの先端に付けられている。直線的な身頃は、黒い絹ゴーズの上に、明るい金糸とブロンズ色コードによる繊細な色調で、エジプト風幾何学模様が全面に刺繍されている。幾何学に傾倒していたヴィオネは、本品のテキスタイルのような規則的に繰り返される幾何学的モチーフにも興味を持っていた。1922年のツタンカーメン王墓の発掘をきっかけに古代エジプト調が流行し、ファッションにもその影響が顕著に見られるものが少なくない。10年代から続くオリエンタリズムの高揚は、古代エジプト調の流行、メキシコのアズティク美術の影響などの異国趣味が混じり合って西欧の人々の心を強く捉え、幾何学的なモチーフを特徴とするアールデコとして結実した。
本品のテキスタイルと同じものがNYのメトロポリタン美術館に所蔵(2009.300.1889a, b)されている。同美術館は、Sarah Lipska [1882-1973]による刺繍である可能性があると指摘している。彼女はポーランド北東のムワヴァMława(当時ロシアの占領下)出身で、1912年からパリで活動した芸術家である。彼女は、彫刻、絵画、インテリアデザイン、劇場衣裳デザイン、テキスタイル・デザインなどの分野で活動した。

1920s